商品開発対談

統合レポート2019 Integrated Report

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商品開発対談

フェミニンケア事業は、近年、堅調な業績を維持しています。特に、日本だけでなく海外で開発された商品が数多く発売され、売上を伸ばしていることが特徴です。そのため、フェミニンケア事業での最近の取り組みや商品開発の特徴などについて、岡事業本部長と野田商品開発部長に聞きました。

好調なフェミニンケア事業を支える商品開発の秘訣

ニーズ発想とシーズ発想の融合が新商品のアイデアを生む

写真:野田 祐樹

野田 2019年1月の組織改編で事業部制となり、グローバルフェミニンケア事業本部のなかにマーケティングから開発まで含まれる体制となりました。組織改編から数か月が経過しましたが、どのように感じていますか?

 もともと、マーケティング部隊と開発部隊は密なコミュニケーションがとれていましたが、同じ組織になったことで時間をともにする機会が増え、さらにコミュニケーションが良くなったと感じています。マーケティングがニーズ発想、開発がシーズ発想で、それぞれ違う視点から消費者を見て議論することで消費者理解がより深まり、新たな商品のアイデアが生まれますので、組織改編は良い成果を生んでいると思います。

野田 確かに部署間の壁はないですね。開発とマーケティングの間で遠慮することなく、お互いの専門分野を尊重した上で言いたいことを言い合える風土に進化しつつあると思います。

 例えば商品開発のテスト結果を見て気になったことがあれば、すぐに開発に電話したり、電話で伝わりにくい時はテレビ会議を行ったり、場合によっては生産や技術などのスタッフも集めるなど、タイムリーにコミュニケーションをとれる環境ができています。また、国籍を超えたコミュニケーションもユニ・チャームの強みの一つですね。マーケティングも開発も両方とも、海外で採用した現地のスタッフが「こうしたらもっと売れる」「こうした方が消費者が喜ぶ」などの意見を意欲的に出してくれます。我々のヒット商品で現地発のものが多いのは、こうしたコミュニケーションの成果だと思います。

開発に必要な3つの目

写真:岡  盟

野田 私は商品開発には、虫・鳥・魚の3つの目が重要だと考えています。現地法人はその国・地域の消費者実態に深く入り込む虫の目、我々本社は全世界を俯瞰し、成功・失敗事例を他国に転用する鳥の目、そして、最も大事なのが現地法人と本社の知見を融合し、潮流をいち早く読み取る魚の目。現地法人と本社が緻密な連携と研鑽をし合うことで潜在二―ズを読み解いているからこそ、それぞれの地域のニーズに合った商品が継続的に開発できているんだと思います。

 マーケティングの立場としては、現地の消費者がどのようなことに関心があるのかを正確に把握する必要があります。海外の現地法人を回って現地のスタッフと話すことによって、本社では知りえない現地の市場実態を肌で感じることができます。

野田 一方で、特定の地域に長くいると先入観にとらわれてしまい、逆に小さい変化に気づきにくくなることがあります。そういう時に、世界を俯瞰してみている我々本社が、「この部分はこの地域独特だよ」「このようなニーズの商品が受け入れられるのではないか?」など気づいた点を伝えることが必要です。現地での商品開発が正しい方向に進む手助けをすることも本社の重要な役割ですね。

現場を知り、現場で討議し、現場で考える

野田 岡さんが現場に視察に行った時に心がけていることは何ですか?

 やはり徹底的に現場を知り、現場で討議し、現場で考えることだと思います。現地消費者のご家庭や店頭での購買現場を見ると、色々な新商品のヒントが得られます。

野田 この1年くらい、岡さんと海外の現場に一緒に行くことが増えましたが、小売店に視察に行った時、岡さんは商品の陳列棚を見ただけで現地で今起きていること、競合の状況などを瞬時に見抜き、今後の対策を現地のマーケティングや開発の担当者にその場で伝えていたのを何度も見ています。1時間以上も店頭で立ち話をすることもあり、岡さんの熱意と鋭い視点に感銘を受けました。

 現場に足を運び、自分の目で見て、生の声を聞く、この地道な活動の積み重ねによって開発者、マーケターともに感覚が磨かれるんだと思います。現場を訪問した後に、記憶が薄れないうちにそこで何を感じたのかを現地のメンバーも含め討議することで、閃き、新商品のアイデアが生まれます。

野田 課題を愛することで見過ごしていたことがアイデアにつながることもありますね。

他社との違いが実感できない商品に価値はない

写真:岡  盟

 商品開発においては、消費者の変化を先取り、消費者の潜在ニーズをいかに掴むかが重要です。消費者アンケートから得られる情報は競合他社も気づいていることなので、消費者も気づいていない潜在ニーズをどうやって感じ取るのかがすごく大事で、その感覚を磨かなければいけないと思っています。

野田 確かにアンケートでは本音を書いていただけないことが多いです。同じ試作品でも着ける人によってモレる、モレないなどの違いが生まれるため、この原因は何かなどを議論したり、またモレない、ムレない、着け心地がよいなどの基本機能の違いを消費者が実感できることを重視しています。

 その通りですね。商品そのものに徹底的にこだわることがユニ・チャームの特徴です。商品名を隠して消費者に使っていただき、商品の優秀性に気づいていただけることにこだわっています。

野田 開発者は職人気質なところがあり、「自分がこんなに作り込んだんだから、消費者は分かってくれるはず」と思いがちです。しかし、自分の思いが判断軸だと違いが実感できない商品しか出せなくなってしまいます。また、すでに導入が進んでいますが、デジタル技術を活用することも重要です。デジタル技術を活用すれば、消費者自身も意識していない心理を効果的に探ることができます。

 他社と比較して際立った差別化ができていなければ、仮に売上やシェアが伸びていたとしても長くは続きません。ユニ・チャームの社員は、自分たちの事業活動が人々の生活の質を向上させることに貢献していなければやる意味がないと思っています。当社の3つのDNAの一つに「尽くし続けてこそNo.1」がありますが、常に最高の満足をお客様にお届けできるよう尽くし続ける意識が共通しているからこそ、開発とマーケティングがお互いを信頼し、率直に思ったことが言い合えるんだと思います。

野田 ユニ・チャームは革新的な素材を開発することもできますし、不織布の加工・成形技術で素材開発を超えるような価値を付加することもできますので、今後も色々な展開が考えられることが強みだと思います。

「誰が正しいか」より「何が正しいか」

写真:野田 祐樹

野田 持続的な成長のためには人材育成が欠かせません。マーケティング部門ではどのように行っていますか?

 実務のなかでOJTで学ぶことが多いです。専門書やマニュアルから学べることもありますが、マーケティングは歴史が浅い学問なので、現場にいった時に「この場面ではこう考えた方がよい」などの会話を通じてスキルを高めていく方が成長が早いのではないかと考えています。

野田 私の場合はチームで打ち合わせをしている時、敢えて違う意見を言い、それを論破してくれることを期待します。理論はもちろんのこと、熱意を持って自分の考えを主張させるようにしています。そのような会話を通じて思考力を鍛えています。

 「誰が正しいか」を考える組織では、新しいものは生まれません。そのため常にみんなが「何が正しいのか」を考えることがすごく大事です。誰かの意見に従っていれば、何も考えなくて良いので楽ですが、それでは組織は衰退します。

ソフィは常に消費者のことを考えている

野田 フェミニンケア事業がこの好調なトレンドを維持していくためには何が必要だと考えていますか?

 新しい提案をし続けることに尽きると思います。「ソフィなら常に最良の商品を使える」「ソフィは常に私たちのことを考えてくれている」と思ってもらうことができれば、少し価格が高くても継続して使っていただけるはずです。また、それによって商品の価値を伝える広告投資や、商品開発のための投資も十分に行える好循環が生まれます。そのためには、消費者の関心がどこに向いているのか、何で判断しているのかを見出し、理解することが大事だと考えています。

野田 吸収力が高い、長時間使ってもムレない、着け心地がよいなど、消費者が何を望んでいるのか、何をもってそれを判断しているのかを正確に把握し、商品に反映することが大事ですね。

 基本機能はもちろんのこと、例えばデザインやもち運びのしやすさ、後処理のしやすさなどの二次機能も重要です。

野田 確かに、タイで発売したクールナプキンも二次機能に近いかもしれません。新開発した「クールシート」を搭載し、気になるムレ・臭いから解放され、ひんやり感が続くことが評価され、爆発的なヒットとなっています。基本機能が高いレベルで消費者の期待を満たし、二次機能でいかに差別化することができるのかが、今後はより重要になってくると思います。

 中国では「口袋魔法(コンパクトタイプ)」の売上も伸びていますね。スマートフォン決済の普及に伴って女性が持ち歩く鞄が小さくなったため、生理用品も小さいものが求められています。また、中国では、自分が使っている生理用品をよくSNSで発信しますので、オシャレなデザインの商品も人気が高まっています。

野田 最初にソフィで信頼を獲得できれば、その後もユニ・チャーム商品のファンで居続けてくれるはずです。今後も消費者の期待を超える商品がご提案できるよう、尽くし続けていきます。

 消費者の潜在ニーズを見つけるためには、デジタル技術の活用やマーケティングと開発の密なコミュニケーションが欠かせません。これからも、ともにがんばっていきましょう。

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